黄斑変性症の手術と治療方法について

3.手術と治療方法について

視界が歪んで見える、視界が欠けて見える特徴をもつ眼病 ”黄斑変性症”の手術による最新の治療方法を紹介します。



「滲出型」における場合

黄斑変性症は、大きく分けて次の2つのタイプがあります。

 ■ 萎縮型
 ■ 滲出型

「萎縮型」は、網膜の細胞が老化することで起こります。 「萎縮型」の黄斑変性症は進行が遅く、視力の低下や視界の変化が比較的ゆっくりと進みます。

一方、「滲出型」の黄斑変性症は、

・ 欠ける
・ ゆがむ

などの症状が急激に進行するため、手遅れになると失明することがあります。 滲出型の黄斑変性症は、黄斑部の一番外側にある網膜色素上皮が老化した結果、 網膜の老廃物が網膜色素上皮のすぐ下にたまり、血流が阻害されます。


その結果、脈絡膜中の血管から「新生血管」が発生して、これが破れて出血することで、血液や滲出液がたまって組織が盛り上がります。
こうして起こるのが「滲出型の黄斑変性症」です。



確立されない治療法

黄斑変性症の治療は、主に以下の3つの治療が行われています。

1、レーザー光凝固術

レーザー光凝固術は、文字通りレーザー光を使用します。 レーザーにより新生血管を焼き固めてしまう治療です。

比較的容易な治療法のため、日帰りにて治療は終了します。 体の負担も軽微です。

しかし、新生血管が「黄斑部の中心」にある場合、 黄斑部付近にレーザーを当てたことにより組織がダメージを受け、 視力低下や視野の範囲の縮小がさらに進行する危険性があります。

2、脈絡膜新生血管抜去術

「脈絡膜新生血管抜去術」とは、網膜の一部を切開して、 発生した新生血管を直接削除する手術法です。

しかし、他の組織に触れず新生血管のみを除去する作業がとても難しいため、周囲にある「網膜色素上皮」が一緒に剥がれ、思わぬトラブルを引き起こす危険があります。

3、黄斑移動術

「黄斑移動術」とは、黄斑の中心部にある 「中心窩」を移動させてしまう手術法です。 視力の回復は期待することができる反面、物が二重に見えたり、 ぼやけることもあります。

また、網膜剥離などの合併症を起こす危険があります。



これらの黄斑変性症の治療法には、どれも一長一短があり、 決め手に欠けるというのが現状となっています。




特殊な薬剤とレーザー光で新生血管を萎縮させる

そのような中、「光線力学的療法」 という最近新しい治療法が開発されました。

「光線力学的療法」とは、黄斑部の新生血管のところに集まる 性質を持つ特殊な薬剤を静脈から注入します。

この薬を注入した後、黄斑部の新生血管に微弱なレーザーを照射します。 そうすると、新生血管に集まっていた薬が化学反応を起こし、 活性酸素を発生させます。

この活性酸素は、新生血管の中の血液と結びつき、新生血管内に血栓を作るため、 新生血管は詰まり、萎縮します。

新生血管が萎縮すると、黄斑変性症は進行がストップ、 視力の低下や視野の狭まりもそれ以上進行しなくなります。

今までのレーザー光凝固術では、強いレーザー光を当てるため、 新生血管の周辺にある「網膜組織」まで傷つけてる危険性を持っていましたが、 光線力学的療法では、このような危険性はほぼありません。



数回の「光線力学的療法」で黄斑変性症の進行が止まる

光線力学的療法の施術は薬剤の点滴、目への麻酔薬の点眼、 レーザー光の照射など、おおよそ20分ほどで終了します。

しかし、薬の注入後48時間は、目が敏感に反応してしまうので、 2〜3日の入院が必要となります。 1回の治療で状態が安定する場合もありますが、 数回の治療が必要になる場合もあります。

多くの人が2〜3回治療を受ければ、 新生血管を萎縮させることができる確率は高いといえます。 ただし、視力の回復や視野の改善に関してはまだ万全ではないので、 他の治療法との併用が必要です。

また、やはり目に”レーザーを照射する”という行為に恐怖を感じ、 いざ手術という時に止める人もいるそうです。